Videos Projects Archives Guestbook



 

第33話 数年間の愚かな過ち

某年某月某日

某カーショップでダンロップタイヤのカタログを見ていたら、エランにも履ける165/70-13のサイズのノーマルカーレース用のタイヤを見つけた。これまでハンドリングに満足したことがなかったので、YAに指摘されたプリミティブなSPスポーツから、全く反対側に位置するセミレーシングタイヤを試してみることにした。何と言っても嬉しいのは、この程度のサイズのタイヤは、どんな高性能でも値段は知れているのである。

ルックスだけは新しいタイヤに勝るSPスポーツは、オリジナルのスチールホールに履かせて取っておこうと思ったので、帰り際にお店の人には「明日取りに来るから捨てないでおいて!」と頼んでおいた。しかし、新しいタイヤで通りに出て50メートルを走ったか走らない内に、「もう二度とSPスポーツは履かない!」と心に決めてしまえるほど、このセミレーシングタイヤは、このエランの足回りにマッチしていた。ステアリングの応答性、ロードホールディング、なにより安心してコーナーに進入することができ、どこでリヤタイヤがブレークし始めるかが、手に取るようにお尻で感じられるのである。それは、まるで下駄からスニーカーに履き替えた程の違いである。

「安いタイヤでいいんです。」を合言葉にしていたNSに「それは間違いだった!」と伝えようと電話したが、留守だったので「ハイグリップタイヤはすごいぞ!」とメッセージを残しておいた。

ハンドリングが改善されて初めて、SPスポーツとのマッチングがどれだけ悪かったか判明したわけだ。その原因は、このエランは、前オーナーが前後ともショックアブソーバーをコニに替えたため、オリジナルよりダンピングが強く、相対的にサスペンションが堅くなり、ロールも少なくなっていたわけだ。これが始めて試乗した時に、本で読んでいたインプレッションとぼくのフィーリングが異なった理由だったのだ。その堅いサスペンションに対してグリップの弱いSPスポーツでは、踏ん張りがきかなくてもしょうがないのだろう。サスペンションがノーマルの場合は、タイヤのグリップが弱くても柔かいサスペンションがロールすることによって、バランスが保たれるのである。

購入後何年も経ってやっと、エラン本来のハンドリングの素晴らしさを知ることができたとは、まったくまぬけな話である。まるで車が二回りも小さくなったような感じがして、人車一体とはこのことかと、首都高を何周もしてしまった。

これまで常に爪先立っているようなフィーリングで、怖い思いをしながらコーナーを攻めていた自分が不憫でならなかった。そして、もちろんSPスポーツは、引き取りに行かなかった。

 

Advertising Programs | Business Solutions | Privacy Policy | Help | About SamokaWeb

©2006 SamokaWeb.com