第31話 発想の自由
某年某月某日
車の修理は、どこが壊れたかのトラブルシューティングに始まり、部品探し、工具の用意、ヘルプの依頼など修理完了までのストラテジーを立ててから実行に移すのが、定石である。この段階を慎重に行なわないと、途中で部品や工具が足りなくなったり、自分一人ではどうにもならない状況にぶつかって、作業を中断しなければならなくなったりする。また、不必要な部品を買い込んでしまったりすることもある。
ストラテジーをたて、タクティクスを駆使して行なった作業が完璧にはまったときは、作業がとてもスムーズに進み、完璧な修理ができるのだ。そのストラテジーの立て方はそれぞれ人によって異なるが、スプリントのM氏から聞いた奇想点外な話を紹介しよう。
彼のマンションには、ジャガーEタイプの12気筒クーペを毎日の足に使っている写真家のMM氏という猛者が住んでいる。ある日曜日、M氏が半地下の駐車場でエランの下に潜ってスピードメーターケーブルを直していると、ジャガーのMM氏がやってきて、「コンドームってガソリンで溶けますか?」と質問されたそうだ。突然の意外な質問にM氏が答えに困っていると、「燃料計が壊れちゃって。」とMM氏。
燃料計とコンドームがどんな関係があるのか分からずM氏がポカンとしていると、MM氏が修理方法のアイディア説明を始めたそうだ。その話の内容を要約すると、「ガソリンタンク内に付いている燃料計のセンダーのフロートにピンホールができてガソリンが入って浮かなくなってしまったから、フロートからガソリンを一端抜いて中を空にしてから、コンドームで包めば、もう二度とガソリンがフロートに入っていかないだろう。」ということだ。
MM氏のコンドームに対する信頼感は相当なものだが、あまりに意外な発想に驚かされて、どうやって直したかを聞き忘れてしまった。
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