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第16話 ニューテクノロジーは人間を幸せにしてくれるのか。

某年某月某日

話はエランから離れて、ある日のこと。

自動車雑誌に記事を書いているアルピーヌのYA とNS が、日産の本社で新しいブルーバードの発表会があるから一緒に行こうと誘ってくれた。

この手の真面目な記者発表を見るのは初めてだったが、まったくその異様さに驚いてしまった。

ずらりと並んだ折り畳みイスにプレス関係者が座り、壇上では社長が、いかにこの新車が優れているか熱弁をふるっている。その姿を写真に収めている記者がいるのも妙だったが、もっと妙だったのは、社長が一番強調していた、「世界初の、ドライバーの疲労度を感知して、休憩を促すインディケーター」の説明だ。そのインディケーターのグラフィックは、コーヒーカップに中のP が入ったパーキングエリアのマークと同じで、ドライバーが運転に疲れてステアリングをフラフラさせているのをセンサーが感知すると、走り出してからの距離、時間などの情報を含めコンピューターが演算して、インディケターを点灯させる仕掛けだそうだ。なんと、これで疲労や居眠りなどによる事故を減らせると、胸を張っている。「So What!!  だからどうした!!」お金をかけなくてはいけないところはそんなところじゃなくて、もっと他にあるのじゃないのと思わせるようなニューモデルだった。

でも、誰の思い付きか知れないが、毎日会社に行ってこの居眠り防止システムを完成させるために、残業までして努力したエンジニアの方には、ご苦労様と声をかけたい気持ちになってしまった。それ以上に、このシステムが本当に働くかどうかテストしたテストドライバーの方には、もっと頭の下がる思いがした。しかし、それ以降のモデルや他社の車に、この手のインディケターがついた車が登場したという話はとんと聞いていない。




 

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