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第7話  毒は毒をもって制す

某年某月某日(購入一 ヶ 月前)

お休みの今日も、朝から発作に襲われている。

発作を抑えるため、エランの本を買いに行くことにした。

目指す本屋は車に関する洋書が揃っている、かの徳大寺さんも働いていたことがあるという青山の嶋田洋書店だ。棚にはエランに関する本が数冊並んでいたが、内容に対する価格がどうもしっくりこない。こんな値段の本を買っていたら、一生本物が買えないことに気付き、本は止めにすることにした。

治療方法を変更して、中古車屋へ行って本物を見て発作を治めることにした。この治療方法は、お金がかからないのがよい。「毒は毒をもって制す。」である。

青山から環八尾山台のロータス専門中古車店、SO へ向かった。

その店の狭いショルームには、赤のエランS2 が飾られていた。その車のコンディションは、「いくら古いからと言っても、これはチョットひどいのじゃないの!」と言った感じだったが、そのお値段は、とてもリッパだった。このコンディションでこの値段だったら、まともな車はいったいいくらするのだろう?と、すっかり意気消沈してしまった。これで当分の間、発作は治まるだろうから、取りあえず今日の目的は達成できたわけだ。

そんな、半ば諦め気分で環八を羽田方向に車を走らせていると、いつも頭の中にモヤモヤと存在する白いエランが道端に駐車しているではないか。それを見つけた僕は、条件反射のように車を止めて、早速品定めを始めた。このエランは、購入候補の筆頭に上げているシリーズ4 のSE クーペで、新しいこともありシッカリとした感じで、とにかく今見てきた赤いのより数段まともそうである。

なぜシリーズ4 のクーペかと言うと、シリーズ1 と2 は、いくらシンプルさがエラン魅力だと言っても、これを毎日の足に使うにはプリミティブ過ぎる。シリーズ3 は、ホイールアーチとテールランプが上品すぎて、パンチが感じられない。スプリントは、あのツートンカラー(モノトーンもあるが)と線がいっぱい入ったカムカバーがいただけない。屋根をクーペに限っている理由は、ズー体の大きな僕がエランのように小さなオープンカーに乗っている姿を外から見るとると、ボリショイサーカスの熊の曲芸ように見えてしまうのが許せないからだ。それと、シリーズ3 と4 をオープンにした時にサイドウインドーのサッシが残ってしまう姿は、どんなに身びいきに見てもカッコが悪い。(サイドウインドーが開いてサッシだけが残っているのを見ると、レンズの入っていなかった大橋巨泉のメガネをいつも思いだしてしまう。)

この道端のエランを5 分ほど舐めるように見回して気になった点は、妙に直径の小さなステアリングホイールが付いていることぐらいで、それ以外は、僕の理想に添っている。人様の車を品定めして、こんなにコンディションの良いのも残っているんだと、勝手に安心している自分に気が付いた。そして、発作が再発した。

 

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