第4話 買ってしまえば何とかなる!?
某年某月某日(購入1 年ほど前)
東横線学芸大駅そばの喫茶店Kにて
夜10 時を過ぎると、この店に変な男達が集まってくる。彼らは、スロットレーシングからカートレースへとステップアップしたレース好きの連中で、その中には、レースに人生をかけているのも何人かいた。
そのメンバーには、当時は駆けだしの自動車雑誌編集者で、十数年後にF1 のシート合わせまでしたが夢を果たせなかったレーサーのAN や、その後レース雑誌の編集長になったMM 氏、MM 氏の弟でメジャーなホビーショップの社長、エンスーなプラモデルを作り続けているK 氏、バイク雑誌の編集をしていたNK やTE 、フリーランスモータージャーナリストのYA やNS などが含まれていた。
このYA とNS が癖物で、その当時既にアルピーヌA110 を所有していた。
連中はほとんど毎晩集まっていたが、僕は結婚した直後で、シビックで時々そこに顔をだす程度だった。
ほとんどの連中とは5 ?10 年の付き合いがあった。
夜な夜なレースと車の話で盛り上がる。まだF1 のテレビ放送もなかったころから、雑誌の記事など少ない情報を元に、それぞれのレーサーのドライビングスタイルを理解しレース展開を想像しながら討論する。また、国産の新車が出ると、誰かが広報車に乗ってきて、夜中の試乗会が始まり、11 時の閉店を過ぎても道端で立ち話が延々と続くのだった。
そんな毒にも薬にもならない会話の途中、突然赤いアルピーヌのYA が話の勢いにのって「お前も速く手の掛かる車買えよ!そしたら一緒に遊んでやるよ。」と、牽制球を送ってきた。「そんなこと言ったって、屋根付き駐車場もないマンション暮らしじゃ。」弱気な僕が答えると、今度はブルーのアルピーヌのNS が「ほら小林彰太郎も言ってるだろ、買ってしまえばなんとかなるって。」とお囃しを入れてくる。
僕は決して負ず嫌いではないが、そんなことを言われると、あの船橋サーキットを走る白いエランが、脳裏に蘇ってくるのだった。
そんな車一辺倒に片寄った連中だから、女の子の話しなどほとんどでなかったにも係わらず、その後全員が一度は結婚を経験しているところを見ると、人間皆ある時期がくれば大人になるようだ?
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